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人材採用とは何か

Q&A形式による人材採用の基礎知識
2.採用について
出所 平成15年版「Q&Aでわかる求人・雇用の基礎知識」より
(社団法人全国求人情報協会編)
内定取消しは解雇に等しい 社会保険の手続きは採用したらすぐに
身元保証人契約 労働条件は書面ですみやかに
最低賃金を守りましょう(最低賃金法) 賃金の支払い
外国人・留学生を雇うときは在留資格を確かめて    
 内定取消しは解雇に等しい
Q. 内定を取り消したいのですが…。
新卒の学生を20人採用内定しました。 しかし、現在の会社の経営状態から考えると、少し多く採りすぎたように思います。 このうち何人かの内定を取り消したいのですが、取消しの通知を出せばよいのでしょうか。
A. 内定者とはいえ、社員とほぼ同等の地位があります。
内定取消しをめぐって最高裁で争われた裁判の判決は次のようなものでした。
「求人募集に対する応募は労働契約の申込みであり、採用内定通知は申込みに対する承諾である。 求職者が出した誓約書とあいまって、求人企業と求職者の間には、 就労の始期を定めかつ誓約書に記載された採用内定取消し事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのが相当である。」 つまり、会社側が入社誓約書を受領した時点で、労働契約が成立するという考え方を示したのです。 同時に、内定者の地位についても次のような趣旨の判断を下しました。 「就労の有無という違いはあるが、採用内定者の地位は、 一定の試用期間を付して雇用関係に入った者の試用期間中の地位と基本的には異なるところはない。」
内定者といっても、ほとんど社員と同等の地位があるのであり、 内定を取り消すことは解雇に等しい行為ということができます。 極度の経営状況の悪化、急激な経済状況の変化等といった正当な理由もなく、採用内定を取り消したり、 本採用を拒否した場合には、採用内定者から損害賠償を請求されても仕方がないでしょう。 また、新規学卒者を雇い入れようとする者は、内定を取り消し、撤回あるいは内定期間を延長しようとするときは、 あらかじめ公共職業安定所等に届けなければなりません(職業安定法施行規則第35条第2項)。
いずれにせよ、内定取消しについては、 その事案ごとの状況(内定通知の内容、形式、内定期間中の取扱い、辞令の交付、保証人、誓約書の扱い等)、 慣行などの解釈によって判断すべきものと考えられます。
※ 内定者が入社を承諾しながら後に辞退した場合は、単なる労働契約の解約と考えられます。 民法第627条では、労働契約解約の意思表示をした日か2週間たてば解約は成立するとしています。
 社会保険の手続きは採用したらすぐに
Q. 社会保険の適用申請は3カ月の試用期間後にしていますが、大丈夫でしょうか?
当社では3カ月の試用期間を設け、社会保険の適用申請は本採用後にしていますが、 それではいけない、ということを聞きました。本当ですか。
また、アルバイトやパートについても社会保険に加入させなければならないのでしょうか。
A. 試用期間中の者といえども適用除外に該当しません。
労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、の適用は強制的なもので、 事業主の判断や労働者個人の意思によって適用の有無を決めることは認められていません。 試用期間中の者といえども適用除外に該当しませんので、 事業主は速やかに被保険者の届け出をしなければなりません。
労災保険(労働者災害補償保険)は、 労働者を使用する事業主すべてが加入しなければなりません。 たとえアルバイトとして労働者を雇っているとしても、必ず加入手続きをとらなければなりません。 保険料は会社が全額を負担し労働者が業務災害(仕事が原因となって生じた負傷、病気、障害または死亡)や 通勤災害(通勤が原因となって生じた負傷、病気、障害または死亡)を被ったときに必要な保険給付が行われます。
雇用保険は、 労働者を雇用する会社全部に適用され、原則として労働者全員が一般被保険者となります。
また、パート労働者についても、次の要件のいずれにも該当する人は被保険者となります。
1) 1週間あたりの所定内労働時間が20時間以上
2) 1年以上雇用される見込みがある
パート労働者は離職の日以前2年間に、 賃金支払基礎日数11日以上の月が12カ月以上あれば失業時に保険給付が受けられます(ただし学生のアルバイトは被保険者とはなりません)。
保険料は労働者の賃金の額に応じた一定の額を会社と労働者が負担します。
例 一般の事業の場合 17.5/1000(使10.5/1000労7/1000)
健康保険(政府管掌健康保険の場合)は、 常時1人以上の従業員を雇用する法人事業と常時5人以上の従業員を雇用する適用業種の個人の事業主は、 必ず加入しなければなりません(採用の日から5日以内に保険者資格届を提出)。 保険料は、労働者の賃金の額に応じた一定の額を、会社と労働者が半分ずつ負担します。
標準報酬月額×82/1000×1/2
介護保険料8.9/1000×1/2
※この方法によって介護保険料を支払うのは、40歳以上65歳未満の労働者です。 平成15年度からは、賞与からも同率の保険料が徴収されます。
賞与等の額(82/1000×1/2)
厚生年金保険の適用は、健康保険と同じです。 臨時に雇用されている場合を除き、全員が被保険者となります。 保険料は、労働者の賃金の額に応じた一定の金額を会社と労働者が半分ずつ負担します。
標準報酬月額×135.8/1000×1/2
賞与等の額×135.8 /1000×1/2
健康保険、厚生年金は、通常の労働者と比較して、 労働時間、労働日数が4分の3以上であれば、以下の1)〜7)を除いてアルバイト・パートなどについても適用されます。 (ただしその場合は、年収が130万円未満でも、配偶者の被扶養者とすることはできません。)
1) 2カ月以内の期間を定められた臨時雇用者
2) 日日雇い入れられる者で1カ月以内の者
3) 4カ月以内の季節労働者
4) 6カ月以内の臨時的事業の事業所に使用される者
5) 所在地の一定しない事業に使用される者
6) 船員保険の被保険者
7) 国保組合の事業所に使用される者
注) 文中の保険料率は、平成15年4月1日現在のものです。
知っておきたいミニ知識 << 労働関係の書類は3年間保存を >>
労働基準法第109条は、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を 3年間保存しなければならない」と定めています。
これは、労働者の権利関係、民事訴訟など労働関係に関する紛争を解決するため及び監督上の必要から、 その証拠を保存するために、労働者名簿、賃金台帳その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存すべき義務を定めたものです。
保存しなければならない種類としては、このほか、雇入れ時に交付した労働条件通知書、解雇時の通知書など。 また、「その他労働関係に関する重要な書類」としては、 例えば、出勤簿、タイムカード、労働基準法第36条の規定による労使協定(三六協定)の協定書などがあります。
 身元保証人契約
Q. 身元保証人契約について教えてください。
当社では、入社の際に身元保証人を立ててもらっていますが、 まだ、責任問題に発展したことがなく、慣例上だけのようになっています。 実際の身元保証人の責任範囲について教えてください。
A. 使用者が被った経済的損害を確実に支払ってもらうための保証契約です。
労働者が労働契約に基づく仕事をしなかったり、売上金の着服などによって使用者が被った経済的損害を確実に支払わせるために、 使用者が労働者のための保証人をあらかじめ立てておくことがあります。 この保証人と使用者の関係で結ばれるのが「身元保証契約」(身元保証に関する法律)です。
この身元保証契約は労働契約とは別個のものなので、労働契約にあたって必ず締結しなくてはならないというものではありません。 使用者と身元保証人の間で任意に決める契約です。 また、あくまで損害賠償の保証であって、それ以外の責任には及びません。 ですから、現実的には、店舗のレジスターや会計・経理業務その他、金銭問題などの起こり得るような仕事に就く労働者の場合が中心になるようです。
身元保証に関する法律では、身元保証契約について、次のように定めています。
1) 期間の定めのない身元保証契約は、成立の日から3年間有効とする。
ただし、商工業見習者の身元保証契約は5年間有効とする。
2) 身元保証契約の期間は5年を超えてはならない。 5年を超えた契約をしても5年に短縮する。 更新する場合でも、更新した時から5年を超えてはならない。
3) 以下のような事態が発生したときは、使用者は身元保証人に直ちにその旨を通知しなければならない。
 
1) 労働者が担当している仕事をうまくこなすことができなかったり、 真面目に仕事をしておらず、身元保証人の責任が発生しそうなとき
2) 使用者が労働者の仕事の内容や勤務地を変更したために、 身元保証人の責任が重くなりそうだったり、 身元保証人が労働者を監督することが難しくなったとき
4) 身元保証人は、(3)の通知を使用者から受けた場合、または自らその事態を知った場合には、 将来に向かって契約を解除することができる。
5) この法律の規定に違反する特約で保証人に不利益となる契約は無効とする。
 労働条件は書面ですみやかに
Q. 採用後、書面で明示しなくてはならない項目は?
当社は、採用した方と労働契約を結ぶ際、賃金については必ず書面で明示し、 業務内容、労働時間などについては口頭で伝えてきました。 しかし、そういうことも書面にしなければならないそうですね。 明示項目について教えてください。
A. 労働基準法の改正により、書面で明示する義務のある事項が加えられました。
労働基準法には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、 労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」(第15条)と定められています。 とくに問題が多い「賃金」についてはこれまでも「書面交付によって明示」することが定められていましたが、 労働基準法の改正により、平成11年4月1日から次の事項について書面交付での明示が義務づけられました。 採用したら速やかに労働条件通知書等を交付しなければなりません。
書面交付による明示事項
1) 賃金−賃金の決定、計算・支払方法、締切時期・支払時期
2) 労働時間−始・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
3) その他−就業の場所、従事する業務の内容、退職に関する事項、期間の定めのある労働契約の場合は労働契約の期間
採用の際、本人に渡す辞令に記載されてあったり、 その労働者に適用する部分を明確にして就業規則を交付すればそれでも差し支えありません。
なお、書面の交付は必要がない明示事項としては、
1) 賃金に関する事項のうち昇給に関する事項
2) 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払方法、支払時期
3) 臨時に支払われる賃金、賞与等に関する事項
4) 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
5) 安全衛生に関する事項
6) 職業訓練に関する事項
7) 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
8) 表彰、制裁に関する事項
9) 休職に関する事項
などがあります。
常時10人以上の従業員がいる会社では事業所ごとに就業規則の作成が義務づけられています。 書面の交付は必要がない事項といっても、大部分は就業規則に盛り込むべきものですので、 きちんとした就業規則を作成しておけば、いつでも新入社員、従業員に示すことができます。
 最低賃金を守りましょう(最低賃金法)
Q. 未経験者を募集したいので、賃金を安く押さえたいのですが…。
部品工場を経営しています。求人広告で従業員を募集したいと思っています。 熟練者では給与が高いので、未経験者を募集しようとしたのですが、 求人情報メディアの営業の方からこの給与では法律に違反するので雇えないと教えられました。 賃金額についての法律があるのでしょうか。
A. 一定地域内で定められた最低賃金額以上を支払う義務があります。
日本国憲法は「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」(第27条第2項)としています。
そこで労働基準法は第1条で「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」という理念をかかげ、 就職から退職までのことに関して、さまざまな条件を定めています。
とくに賃金について「これだけの額以上の賃金を支払わなければならない」ということを定めた法律として「最低賃金法」があります。 最低賃金を決める方法には次の2つがあり、一般的には(2)が運用されています。
1) ある一定地域内の企業と労働者の大部分が労働協約のなかで最低額を定め、 これを下回って働かない、働かせないと定める方法。 この場合は、その労働協約を結んでいる労使双方がお互いに納得して、 厚生労働大臣か都道府県の労働局長に申請し、それが受理されなければなりません。
2) 最低賃金審議会で審議して最低賃金を決める方法。 最低賃金は、毎年、中央最低賃金審議会および各都道府県の地方最低賃金審議会で審議され、 改定があればだいたい10月ごろに告示されます。
平成14年度の地域別最低賃金額は こちらのとおりです。 雇用主は、原則として、この賃金を下回って、人を雇うことはできません。
>>平成14年度「地域別最低賃金額」
 賃金の支払い
Q. 賃金の支払いに関して知っておくべき法律はありますか?
当社は、給料を現金で支払っています。 今後は、銀行振込みにしたいと思っているのですが、注意するべきことなどがありましたら教えてください。 その他、賃金の支払いに関して知っておくべき法律がありましたら教えてください。
A. 労働基準法では、賃金の支払いについて、次の5原則を定めています。
1) 通貨払いの原則
2) 直接払いの原則
3) 全額払いの原則
4) 毎月払いの原則
5) 一定期日払いの原則
この原則に従えば、給料は現金で支払わなければならないわけですが、 労働者の同意があれば、賃金を労働者の銀行口座に振り込むことができます。 ただし、賃金支払日の午前10時頃には、労働者がそれを払い出せるようにしておかなければなりません。
また、所得税法第231条では、「その給与等、退職手当等又は公的年金等に金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、 その支払を受ける者に交付しなければならない」と定めています。 使用者は、通貨払いか振込みかに拘わらず、その給与の支払明細書(基本給・手当その他賃金の種類ごとの金額、源泉徴収額、社会保険料等)を 労働者に交付しなければなりません。
さらに、同法第223条には、源泉徴収票の交付義務も規定されています。
* 労働基準法第115条では、賃金についての請求権は2年で消滅すると規定しています(退職手当は5年)。
* 通勤手当の非課税限度額は10万円です。 これを超えると、給与としてその分に課税されます。 ただし、マイカーや自転車などを使って通勤する労働者に対して支払われる通勤手当については、通勤距離によって非課税の限度額が決められています。
 外国人・留学生を雇うときは在留資格を確かめて
Q. 留学生を雇う時に気をつけるべきことは?
アルバイトを募集したところ、外国人が応募してきました。 日本語も達者なようですし、仕事もできそうです。 専門学校へ通っている留学生だというのですが、雇っても問題はないでしょうか。
A. 在留資格を確認しましょう。
外国人が我が国に在留中に行うことができる活動の範囲は、 「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」という)に基づく在留資格に応じて定められています。
現在、在留資格は27種類あり、各在留資格で定められた範囲での就労が認められる在留資格(技術、人文知識・国際業務、技能など)、 就労が認められない在留資格(短期滞在、留学、就学など)と就労活動に制限のない在留資格(日本人の配偶者、定住者など)に分けられます。 専門学校へ通う留学生には在留資格「留学」が付与されますが、これは就労が認められない在留資格です。
ただし、在留資格「留学」や「就学」で我が国に在留する外国人はあらかじめ地方入国管理局で資格外活動の許可を受けてアルバイトを行うことができます。 留学生などがアルバイト(資格外活動)の申請を行った場合は、勉学などの在留状況などに特段の問題がなければ、 就労時間が1週28時間以内で(ただし、就学生は1日4時間以内)、風俗営業または風俗関連営業以外であれば就労することが許可されます。
したがって、留・就学生を雇おうとする場合は、留・就学生が資格外活動の許可を受けているかどうかを確認し、許可を受けていない場合は受けさせてから採用してください。
また、留・就学生以外の外国人の方を雇い入れる際についても、就労が認められる在留資格を有しているかどうかを確認するようお願いします (就労が認められていない在留資格で在留する外国人などを雇用した事業主などは、入管法第73条の2により3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられます)。


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